3月3日は「桃の節句」。
7段のひな人形を…とまではいかずとも、ミニ雛飾りやつるし雛を飾ったご家庭もあるのではないでしょうか?
雛飾りは飾らなかったけれど、ちらし寿司や桜餅は食べたという方も多いかもしれませんね。
私もさば醤油干し入りのちらし寿司を食べました。
せっかくですので、今回は静岡県東部での桃の節句について少しばかりご紹介します。
私たちヤマカ水産のある静岡県は日本地図でいうと、この場所。
太平洋に面した東海地方にあります。
(天気予報だと関東や中部地方になっていることもありますがその話はまたいずれ)
この東海地方で有名なのが「つるし雛」。
現代のようなひな人形(座り雛)が身近な存在になり始めたのは江戸時代とされていますが、当時も7段のひな人形というのは庶民には手の届きづらい存在でした。
そうはいっても女の子の成長や健康・幸せを願う親や周囲の気持ちは誰だって一緒です。
そこで、各々が想いを込めた小さな人形たちを作って持ち寄り、紐でまとめ上げて飾ったのが吊るし雛の始まりだとされています。
東海以外の地方でも同様のつるし雛や、木の枝に人形を挿した飾りを作る地域があるようです。
それだけ日本のあちこちで「桃の節句」「子どもの幸せ」というのは大事なものと考えられてきたのです。
さて静岡県東部に視点を戻しましょう。
私たちヤマカ水産のある沼津市はもちろん、周辺地域もいまでは新暦(=現代の)3月3日がひな祭りの日になっています。
そのため、この日が近づくとあちこちで雛飾りが飾られ、スーパーにはひなあられや菱餅が並びます。
静岡県東部のひなあられはいわゆる東日本版で、パステルカラーで甘い味付けのポン菓子のようなタイプです。
関西の甘いものもしょっぱいものも混じったあられに慣れた方はびっくりするかもしれませんね。
ちなみに今年は丸いあられタイプのものしか売っていませんでした…
時代の変化のためなのか、お米高騰のせいなのかは不明です。
雛飾りのほうは、調べる限り段になった座り雛のひな人形もつるし雛もどちらも飾られています。
伊豆稲取には日本3大つるし飾りのお雛様があったり、沼津御用邸では歴史ある建物とともに様々な年代・様々な種類のお雛様を見ることができます。
近年では「家では飾れないけれど子供に見せてあげたくて」と親子で訪れる方もいらっしゃるのだとか。
※下の写真は筆者実家のひな人形。段の座り雛のみ派です。
さて、この静岡県では旧暦の3月3日、現代の暦にあてはめるとひと月後の4月3日ごろにひなまつりを行う方もいます。
このように新暦ではなく旧暦で行事を行うのを「月おくれ」というのですが、これもまた全国の一部地域、特に雪深く春の訪れが遅くなる地域や農村地域ではその傾向があるようです。
よくよく考えてみれば桃の開花時期も旧暦の3月ごろ、つまり現代の暦であれば4月ごろになるわけですから、
「ひな祭りの時期に桃の花って見かけないな…春らしさのある旧暦でお祝いしようか」
となるのも納得です。
ちなみに3月にお祝いするときは、桃の代わりに梅たちが咲き誇っています。
筆者の祖父母が富士宮(こちらも静岡県東部です)に住んでいたのですが、この時期に遊びに行くと3月3日を過ぎても雛飾りのおいてあるお店があったり、雛あられが売っていたりして、小さな頃は不思議な気持ちになったものです。
今思えば、あれは旧暦でお祝いをする人のためのものだったのでしょう。
すべてが旧暦までとはいきませんが、今年(2025年)も静岡県では3月9日や3月末まで雛飾りを飾ったりイベントを行っている施設が多くあるようです。
家では飾り切れないほどのたくさんの雛飾りが並ぶ様はどれも伝統と新しさを感じる圧巻の光景です。
この季節だけの景色を楽しみに、お出かけしてみるのもいいかもしれませんね。
参考
神々に祀る人形-民俗事例と文献史料を中心として-
奥野義雄 文化財学報(1986)
伝統行事の伝承に関する一考察-遠野市「みずき雛」協働作業を通じて-
遠藤雅子 東海学院大学紀要(2022)