沼津の干物と言えば「あじの開き」ですが、今回はこの原料となる魚、あじについてお話しします。
あじとひとくちに言っても、世の中には「〇〇アジ」と名の付く魚がたくさんいます。
2025年時点であじの仲間の魚は140~150種ほどいるとされており、日本だけでなく世界中の温帯や熱帯に分布しています。
採りやすいものや身が美味しいものが多いことから、どの地域でも重要な海産資源として活用されてきました。
日本での呼び方「あじ」も、味がいい(おいしい)ことに由来するものだという説が一般的になっているほどです。
そんなあじのなかでも最も身近なのが「マアジ」です。
体長20~30㎝ほどのものが一般的ですが、10㎝に満たない大きさの豆アジ(こどものあじ)や、50㎝ほどにまで大きくなったものも売られていることがあります。
形は典型的な「魚」の形。青魚ではありますが、イワシやサンマに比べると背中の青色は控えめです。
生息している地域や環境によっては黄色っぽい色のほうが目立つものもいます。
あじの仲間に多く見られる稜鱗(りょうりん、ぜいご や ぜんご とも呼ぶ)というギザギザが胴体の左右についており、調理する際や食事中に指や舌に引っかかって痛い思いをした方もいるかもしれません。
このギザギザは天敵に襲われたときの防御用という説が有力ですが、魚が水流を感じるための感覚器官「側線」に沿って存在しているので、何か別の意味があるのではないかとも言われています。
あじの旬は晩春から初夏の4月~7月頃ですが、一年を通じておいしく食べることができるうえ、生でも焼くのも揚げるのにも合うとてもありがたい魚です。
ヤマカ水産公式Instagramに南蛮漬けなどあじのレシピを投稿していますので、気になった方はぜひ試してみてください。
さて、沼津で作られてきた「あじの開き」も、このマアジを使用している場合がほとんどです。
魚の開きにも「背開き」「腹開き」「小田原開き(頭を開かない背開き)」など種類がありますが、私たちの住む沼津ではあじの開きといえば「腹開き」が一般的。
おなか側から刃物を入れることで内臓を取り除きやすくスピーディーに加工ができるほか、頭も開くことで乾燥時間を早めることができます。
また、内臓が身に付きづらく手早い加工ができることで衛生的にもメリットがあるのです。
沼津で作られたあじの開きは鮮度を保ったまま全国に運ばれ、みなさんの近くのスーパーや飲食店に並びます。
お買い物に行った際はぜひ「沼津加工」の文字が入ったあじの開きがないか探してみてください。
参考
アジ科魚類ヒラアジ類の稚幼魚を含む分類・同定ならびに系統に関する研究
木村 清志(2020年)
日本魚類学会誌 69巻 116P アジ科数属の標準和名の提唱
木村清志 ら(2022年)
マアジの稜鱗について
東京都立戸山高等学校 濵田一朗(2023年)
アジのゼンゴ
東京魚チング(2025年3月1日閲覧)